固定資産の減損会計に関して③減損損失の認識

会計・経理 税制
公開日:2023.11.14
更新日:2023.11.14
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ここ数回、固定資産の減損会計に関して、簡単に考え方や検討の流れに関して解説しています。
今回は初回に説明した「2、減損会計の検討の流れ③減損損失の認識」を簡単に掘り下げます。減損の兆候の判定おいて「兆候あり」と判定された資産及び資産グループに対して当ステップの検討が必要になります。
色々と細かい規定があり、煩雑なのですが、まずはイメージだけ掴んでもらえればと思います。

「③減損損失の認識
減損損失の測定は、将来キャッシュ・フローの見積りに大きく依存します。将来キャッシュ・フローが約定されている場合の金融資産と異なり、成果の不確定な事業用資産の減損は、測定が主観的にならざるを得ません。その点を考慮すると、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当です。
基準は、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、これらが生み出す割引前の将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回るときには、減損の存在が相当程度に確実であるとし、そのような場合には減損損失を認識することを求めています。当ステップでは、減損の存在が相当程度に確実である資産又は資産グループを洗い出します」

初回の「2、減損会計の検討の流れ③減損損失の認識」から抜粋

【1】帳簿価格と割引前将来キャッシュ・フローとの関係

帳簿価格と割引前将来キャッシュ・フローとの関係

【2】割引前将来キャッシュ・フローの見積りに関して

イメージは以下になります。

割引前将来キャッシュ・フローの見積りに関して

減損損失を認識するかどうかを判定するために見積る割引前将来キャッシュ・フローの総額は、以下のように算定されます。
資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超えない場合には、当該経済的残存使用年数経過時点における資産又は資産グループ中の主要な資産の正味売却価額を、当該経済的残存使用年数までの割引前将来キャッシュ・フローに加算します。

※正味売却価額
正味売却価額とは、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額です。

<見積りに関しての留意事項>

将来キャッシュ・フローを、見積るにあたっては、以下のような点に留意する必要があります。

  • 取締役会等の承認を得た中長期計画の前提となった数値を、企業が用いている内部の情報と整合的に修正し、各資産又は資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して、将来キャッシュ・フローを見積ります。
  • 中長期計画が存在しない場合、企業が用いている内部の情報に基づき、各資産又は資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して、将来キャッシュ・フローを合理的に見積ります。これには、過去の一定期間における実際のキャッシュ・フローの平均値に、これまでの趨勢を踏まえた一定又は逓減する成長率(ゼロやマイナスになる場合もある)の仮定をおいて見積ることも含みます。
  • 計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生ずる将来キャッシュ・フローは、見積りに含めません。
  • 現在の価値を維持するための合理的な設備投資に関連する将来キャッシュ・フローは、見積りに含めます。したがって、資産グループ中の主要な資産以外の構成資産の経済的残存使用年数が、主要な資産の経済的残存使用年数を超えない場合でも、現在の価値を維持するための合理的な設備投資により、構成資産が引き続き存在するものと仮定して、将来キャッシュ・フローを見積ります。この場合、当該設備投資に関連する将来キャッシュ・フローには、当該設備投資による将来キャッシュ・アウト・フローや、主要な資産の経済的残存使用年数経過時点において存在すると仮定された構成資産の正味売却価額も含まれます。
  • 将来の用途が定まっていない遊休資産については、現在の状況に基づき将来キャッシュ・フローを見積ります。
  • 建設仮勘定については、使用に供されていないが、その将来キャッシュ・フローは、合理的な建設計画や使用計画等を考慮して、完成後に生ずると見込まれる将来キャッシュ・イン・フローから、完成まで及び完成後に生ずると見込まれる将来キャッシュ・アウト・フローを控除して見積ります。

コラム記載の内容は、あくまで個人的見解になります。

以上

参考

固定資産の減損に係る会計基準

固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第6号)

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