中小企業の抱える経営課題-Withコロナ時代の中小企業の在り方と解決策とは?-
2023年5月より、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行、停滞していた経済活動も徐々にではありますが回復の兆しを見せようとしています。一方で新型コロナが企業に与えた影響は大きく、特に中小企業においては存続・発展に向けた変化への対応が否応なく迫られているのではないでしょうか?
当コラムではWithコロナ時代にますます深刻化する中小企業の経営課題を解決するために、それらが何かを把握し、解決策をとっていくための中小企業の経営課題と解決策をご紹介します。
1.中小企業とは
中小企業とは、従業員数が300人以下、年商または資本金が6億円以下の企業を指します。ただし、業種によって異なる基準が設定されている場合があります。また、国や地域によっても異なる定義が存在するため、一概に言えない部分もあります。
中小企業は、大企業と比較して従業員数や資本金が少なく、業界内での競争力が低いことが多いですが、柔軟性やスピード感を持って市場変化に対応することができるというメリットもあります。また、地域に根差したビジネスモデルを持つことが多く、地域経済の発展に大きく貢献しているという側面もあります。中小企業は、日本を含め世界中で重要な役割を担っています。
中小企業の定義
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
※1 出典:中小企業庁HP
※2 中小企業の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なることがあります。
2.中小企業の現状
新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、2020年4月に最初の緊急事態宣言が発令されてから約3年が経過しました。コロナ禍においては世界中のあらゆる環境が一変、国内の社会経済、企業経営にもかつてない大きな変化が訪れました。
2020年には感染症流行による経済社会活動の停滞により、業況判断DIは急速に低下し、第2四半期にリーマン・ショック時を超える大幅な低下となりましたが、その後は2期連続で上昇。2021年は上昇と低下を繰り返しながら推移しており、中規模企業においては感染症流行前を上回る水準まで回復したものの、小規模事業者においては戻り切れていないのが現状です。
出典:中小企業庁 2022年版中小企業白書より
3.中小企業が抱える経営課題
中小企業が抱える経営課題は多岐に渡りますが、以下に代表的なものをいくつか挙げてみます。
- 売上の減少
コロナ禍により、消費者の需要が低下し、売上が減少する中小企業が多く見られます。特に、旅行・宿泊業、飲食業、小売業など、接客業に従事している中小企業は、大きな影響を受けています。
- 資金調達の困難性
中小企業にとって、銀行からの融資や資本市場からの調達は難しい場合があります。特に、事業の拡大や新規事業の立ち上げなどに必要な資金が不足している場合は深刻な課題となります。
- 人材確保・育成の難しさ
中小企業は大企業と比較して、人材採用や育成において制約があります。また、大企業と比べて給与や福利厚生が低いことが多く、優秀な人材を獲得することが難しい場合もあります。
- 法令・税制の変更への迅速な対応が困難
法令や税制が頻繁に変更される中、それに追従するだけでも中小企業にとっては大きな負担となります。特に、専門的な知識や経験が必要な場合があり、それに対応できる人材やコンサルタントを確保することが難しい場合があります。
- 経営戦略の策定・実行の難しさ
競合が激化し、市場環境が急激に変化する中、中小企業は適切な戦略を策定し、実行することが困難になっています。特に、人材や資金の制約がある場合、戦略の実行力が不足することがあります。
- IT化の遅れ
情報技術の進歩により、IT化が進む中、中小企業はIT化の遅れが課題となっています。特に、顧客管理や生産管理などの業務効率化については、IT化が必須となっていますが、適切なIT技術や人材を確保することが難しい場合があります。
4.中小企業の経営課題解決に向けた取り組み
中小企業が経営課題を解決するためには、以下のようなアプローチが考えられます。
- 経営戦略の見直し
コロナ禍により市場環境が変化したため、中小企業は自社の強みを把握し、市場ニーズに合わせた経営戦略を策定する必要があります。
- 新たなビジネスモデルの構築
中小企業は、新たなビジネスモデルを構築することで、収益源の多角化や業界の変化に対応することができます。
- 技術の導入・活用
中小企業は、デジタル技術やロボット技術、人工知能などの先進技術を導入し、生産性の向上や業務効率化を図ることができます。
- 地域との連携・協力
中小企業は、地域との連携・協力により、地域に根ざしたビジネスモデルを構築し、地域経済の発展に貢献することができます。
- 人材育成・活用
中小企業は、人材の育成・活用に注力することで、人材不足や採用難の問題を解決し、企業価値の向上を図ることができます。
- 資金調達の多様化
中小企業は、資金調達の多様化により、銀行融資以外の資金調達を図ることができます。
5.中小企業の経営課題に対する解決策とは
中小企業が抱える経営課題を解決するために、コンサルタントの活用は有効な手段の一つです。コンサルタントは、多岐にわたる業界や分野での知識や経験を持ち、企業の課題に対して客観的な視点や専門的なアドバイスを提供することができます。
特に、中小企業は人材やリソースに限りがあるため、経験豊富なコンサルタントのアドバイスやサポートを受けることで、迅速かつ効果的な課題解決が可能となります。また、コンサルタントは、企業が抱える課題に対する解決策を提供するだけでなく、実際の実行までサポートすることができます。
ただし、コンサルタントを活用する際には、適切なコンサルタントを選択することが重要です。企業の業種や課題に合った専門知識や経験を持つコンサルタントを選択することで、より効果的なアドバイスやサポートを受けることができます。また、コンサルタントに依存することなく、企業自身でも解決策を考え、実行することも重要です。
コンサルタントはあくまでも企業のサポート役であり、最終的な判断や決定は企業自身が行うことが求められます。コンサルタントのアドバイスを適切に活用し、企業自身が主体的に課題解決に取り組むことで、より効果的な結果を得ることができます。