経営管理とは?概要や種類、管理手法、効果的なツールをわかりやすく解説
企業のリソースを最大限に活用して経営成果を高めるためには、適切な経営管理が不可欠
本記事のまとめ
- 経営管理とは、経営における計画策定や活動の実行、リソース配分などを管理するための一連のプロセスを指す
- 経営管理の目的は、経営の重要な3要素である「ヒト」「モノ」「カネ」を最大限に活用し、経営成果を最大化させること
- 経営管理を始める際は、具体的な目標設定やコミュニケーションルールの確立、ITツール活用が有効である
経営活動の状況を適切に把握し、継続的に改善していくためには経営管理が重要です。本記事では、経営管理の概要や種類、管理手法、効果的なITツールなどを解説します。
目次
1. 経営管理とは
はじめに、経営管理の定義や機能、類似用語との違いについて解説します。
経営管理の定義と目的
経営管理とは、企業などの組織が目標達成に向け、計画策定・活動・評価・改善およびリソース調整を行う一連のプロセスを指します。
企業における経営管理の目的は、ヒト・モノ・カネなどのリソースを最大限に活用し、経営成果を最大化させることです。
経営管理における基本的な用語の説明(KGI・KPI)
経営管理に関わる基本的な用語である「KGI」と「KPI」について解説します。
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」を意味します。売上高など、企業経営における最終的な目標を設定することが一般的です。
KPIは「Key Performance Indicators」の略で、日本語では「重要業績評価指標」です。最終的な目標であるKGIを達成するために、重要となるプロセス指標を設定します。たとえば、顧客数や商品の購入率、顧客1人あたりの購入単価などが代表例です。
経営戦略・経営企画との違い
経営管理と類似した用語に「経営戦略」や「経営企画」があります。経営管理との違いは以下のとおりです。
- 経営戦略:将来の中長期的な経営ビジョンの達成に向けた方針や計画の策定
- 経営企画:経営戦略に基づく短期的な計画策定や経営リソースの配分
- 経営管理:経営戦略や経営企画に基づいた、経営活動プロセスの管理
経営戦略や経営企画では将来的な企業の方針や計画を策定する一方、経営管理はそれらに則った活動プロセスの管理という点で違いがあります。
経営管理の4つの基本機能
経営管理には、以下に示す4つの基本機能があります。
機能 | 概要説明 |
---|---|
マーケティング機能 | 顧客ニーズに基づく商品やサービスを提供し、売れる仕組みを作ること |
イノベーション機能 | 顧客にとって新たな価値となる新商品や新サービス、新技術を生み出すこと |
経営管理的機能 | 会計、組織ビジョンの明確化、KPI設定などの生産性を高めるための機能 |
利益の機能 | 事業の成果となる利益を測定するための機能 |
上記のとおり、マーケティングや会計、利益管理など経営活動において欠かせない機能が含まれていることが特徴的です。
2. 経営管理で必要となる3つの要素
ここでは、経営管理で必要な3つの要素である「ヒト」「モノ」「カネ」の管理について解説します。
①ヒトの管理
経営活動を行うためには、従業員をはじめとする「ヒト」の存在が不可欠です。会社で働く人々が心身の健康を保ち、十分なやる気とパフォーマンスを発揮するためには、以下のような管理が重要となります。
- 従業員のモチベーション
- 組織のパフォーマンス
- 人事評価制度の運営
- 採用選考
- 社内規則の策定
- 残業時間の管理
- 業務負荷の可視化
②モノの管理
経営活動における基本的な成果物は「モノ」(商品やサービス)です。社会や顧客に満足してもらえる「モノ」を提供し続けるためには、以下のような取り組みがポイントとなるでしょう。
- 商品やサービスの品質管理
- 業務改善
- 顧客の要望やクレームへの対応
- マーケティング活動
- 新商品の開発
③カネの管理
社会や顧客に対して「モノ」を提供した対価として受け取るのが「カネ」(収益)です。新商品開発や設備投資など、今後の経営活動を維持・向上させていくためにも以下のような管理は重要です。
- 売上、原価、経費、在庫、キャッシュフローなどの会計管理
- 経営状態の把握
3. 経営管理の種類
経営管理の対象は多岐にわたります。経営管理の主な種類と役割について解説します。
生産管理
生産管理は、経営における生産活動を効率化するのが役割です。経営目標に基づく販売計画、需要と供給のバランスの調整、在庫管理などを行います。
具体的な業務としては、以下が挙げられます。
- 生産計画や購買計画の作成
- 資材の調達
- 生産設備や作業員の準備
- 生産工程管理
- 生産物の品質管理
販売管理
販売管理は、商品やサービスの販売活動を管理するのが役割です。また、販売によって得られるお金を管理する役割も持ちます。
具体的には、以下に示す業務が該当します。
- 受発注の実施および管理
- 見積書や請求書の作成
- 入金確認
- 在庫棚卸し
労務管理
労務管理は、従業員の労働環境を管理するのが役割です。従業員が安心して仕事に集中し、能力を発揮するために大切な業務を担います。
- 就業規則の作成・運用
- 各種社会保険の手続き
- 勤怠管理
- 給与計算
- 安全衛生管理
人事管理
人事管理は、経営目標を達成するために必要な人材の確保や育成を行うのが役割です。採用や人材配置、教育といった「ヒト」に関わる業務を幅広く担います。
- 従業員の採用
- 人材配置
- 人事異動
- 人事評価
- 従業員の教育
財務管理
財務管理は、経営活動に必要な資金を管理するのが役割です。以下に挙げる資金の調達や財務分析、予算管理など、企業の血液ともいえる「カネ」を一通り管理します。
- 資金調達
- 資金運用
- 決算書の作成
- 財務分析
- 予算管理
4. 経営管理において大切な管理手法
経営管理を適切に行うためには、正しい管理手法を知ることが大切です。ここでは、経営管理において重要となる3つの管理手法を解説します。
①経営成果につながるKGI・KPIを設定する
まずは、経営成果を創出するためのKGI(経営目標)とKPI(プロセス指標)を設定します。経営管理を適切に行うためには、経営活動の最終目標となるKGIを明確に設定したうえで、プロセス指標であるKPIを具体的に設定することが重要です。
KPIを設定する際には、「SMART」の考え方(※)を適用すると有効です。
※「SMART」の考え方
- S(Specific):具体的にする
- M(Measurable):測定可能なものにする
- A(Achievable):達成可能なものにする
- R(Relevant):最終的な目標(KGI)と関連しているものにする
- T(Time-bounded):期限を定める
また、KPIを社内の部門・部署ごとに細分化して割り振る場合においても、上記のSMARTの考え方を意識するとよいでしょう。
②組織内で円滑なコミュニケーションルールを確立する
当初に設定した各KPIは、設定して終わりではなく、達成状況や進捗状況を定期的に確認することが大切です。各部門・部署の達成状況や進捗状況を適切に共有するためには、組織内でコミュニケーションルールを確立する必要があります。
以下のようなコミュニケーション上のルールを明確に決めて、経営活動の状況をタイムリーに把握できるようにしましょう。
- 活動の報告範囲の決定(部署内、部署間、会社全体など)
- 活動の報告頻度の決定(日次、週次、月次など)
- 会議体の決定(参加範囲、開催頻度など)
- 上位層にエスカレーションする場合の連絡ルートや連絡方法
③経営管理の活動においてはITツールも有効活用する
社内のさまざまな情報の収集・管理も経営管理には欠かせません。しかし、組織の規模が大きくなるにつれて、すべてを手作業で管理するのは困難となるでしょう。
従業員の業務負荷を軽減し、効率的に経営活動を行うためには、ITツールを活用することが効果的です。
経営管理に役立つITツールについては、次章で紹介します。
5. 経営管理に役立つITツール
経営管理に役立つITツールを2点紹介します。
①BI(Business Intelligence)ツール
BIツールとは、経営上の意思決定を支援するためのツールです。そもそもBIとは「Business Intelligence」の略で、経営の意思決定に関する情報を意味します。
経営判断の際に必要となる各種データ(商品・顧客・生産・受発注・在庫など)は、企業内のあらゆる所に点在していることが一般的です。それらのデータを人手で集めて可視化するのは非常に多くの手間と時間がかかり、経営判断のスピードを大きく鈍らせる要因となります。
BIツールは、このような課題解決が図れるITツールです。膨大なデータを素早く収集・可視化することで、経営層や管理職、現場の従業員に対して、グラフなどのわかりやすい形で情報をタイムリーに提供できます。
②ERP(Enterprise Resources Planning)
ERPは「Enterprise Resource Planning」の略であり、日本語に訳すと「企業資源計画」となります。経営管理を行うために必要な機能(会計管理・人事管理・生産管理・物流管理・販売管理など)が標準的に搭載されているツールです。
ERPは、企業にあるリソースやデータを最大限に活用し、効率的な経営を実現するために有効です。
つまり、経営管理の大部分はERPが担っているといっても過言ではなく、経営管理において特に重要なツールといえます。
6. 経営管理の効率化には、BI機能を標準搭載したERPの導入が効果的
ここでは、経営管理においてBIツールやERPを導入する際のポイントを説明します。
経営管理を始めるときは、BI機能を搭載したERPを導入するとスムーズに開始できる
経営管理を始める際は、前章で紹介したERPとBIツールを活用することが有効です。
ただし、ERPとBIツールは基本的に別々のツールです。それぞれを個別に導入した場合、ツール同士を連携させるための手間やコストがかかり、ツール導入の効果が十分に発揮できないおそれがあります。
そこでおすすめなのが、BI機能を標準搭載したERPの導入です。1つのツールでデータの統合管理やデータの可視化が一通りできるため、最小限の手間やコストで経営管理に役立つツール環境を構築できます。
BI機能を標準装備したクラウドERP「GRANDIT miraimil」
「GRANDIT miraimil」は、BI機能を標準搭載したERPです。中小企業向けの国産統合型クラウドERPで、商社・卸売業、サービス業や情報サービス業に特化している点も特徴です。
「GRANDIT miraimil」では、蓄積された企業内のデータを集計して、定型レポートやモデル分析が可能です。また、Excelのピボットテーブルなどを利用した分析パターンを用意しているため、専門知見がなくても直感的にデータ分析ができます。
加えて、クラウドサービスである特徴を活かし、最短で3か月というスピード導入と平均80%(当社実績)の導入コストの削減も実現できます。
専任スタッフによるシステムの運用保守・監視サポートがあるため、IT担当者の業務負荷を軽減できる点もメリットです。
まとめ
経営管理は、経営目標の達成に向けて計画や活動、改善、リソース調整などを行う一連のプロセスです。経営の重要な3要素である「ヒト」「モノ」「カネ」を最大限に活用し、経営成果を最大化させることを目的としています。
経営管理の対象は、生産管理・販売管理・労務管理・人事管理・財務管理など多岐にわたります。
経営管理を始める際は、具体的な経営目標(KGI)や目標を達成するためのプロセス指標(KPI)を定めることが大切です。また、社内で円滑にコミュニケーションを図るためのルールの確立を行いましょう。
経営管理をすべて人手で行うのは限界があるため、ITツールの活用も有効な手段です。自社でスムーズな経営管理を実現したい場合は、BI機能を標準装備したクラウドERP「GRANDIT miraimil」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。