中小企業でも必要!会社の大小問わず必要な内部統制の解説
「内部統制」
名前は聞いた事がある方は多いと思いますが、具体的な中身に関して、しっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。決して、上場企業だけに対して求められるものではなく、中小企業においても、内部統制の考え方を理解する事は有用です。
本日は、簡単な内部統制の解説を行います。
内部統制の定義
内部統制は、「業務の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「事業活動に関わる法令などの遵守」並びに「資産の保全」の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動) 及び IT(情報技術)への対応の6個の基本的要素から構成されます。
例で考えてみましょう
文書にすると難しいのですが、実はみなさんの身近な存在です。
例として、P マーク(プライバシーマーク制度)導入で考えてみます。 目的は Pマーク導入であり、「事業活動に係る法令の導守」が近いと思います。
① 統制環境
簡単にいうと、会社の組織風土です。仮に経営者及びマネジメント層が「適当にやっとけば大丈夫だよ」というメッセージを発信すれば、従業員は適当に実施します。他の構成要素を、どれだけきちんとやっていたとしても、全てを無効化する破壊力があります。逆に、ルールとして明記されていなくても、経営者やマネジメントが常日頃からメッセージとして強く言っていることは、従業員は実施します。実務的な感覚でも理論上でも最もここが重要視されます。経営者及びマネジメントの意識・発信が何よりも大切です。
② リスクの評価と対応
Pマークとしての要求基準があり、それらを会社の実態に照らして、落とし込む作業が必要です。つまり、会社の実態に照らして、リスクを正確に把握したうえで、どのような会社ルールを整備するかの話です。
正確なリスク把握を行い、適切なルールを整備する必要があります。
③ 統制活動
②でルールが整備されました。次はその整備したルール通りに実際に運用がなされないと、目的である、Pマーク導入は達成できません。要は絵にかいた餅にならないように、組織内の全員で運用される必要があります。
④ 情報と伝達
例えば、会社の実態を把握するにあたり、現場からの正確な情報がマネジメントサイドに上がってこないと、マネジメントサイドは誤った実態を基にルールを設定してしまいます。そして、そのルールをいくら守ったとしても、結局目的は達成できません。⑤にもつながりますが、整備・運用状況をモニタリングした結果、問題点があったとします。こちらに関してもモニタリング担当者から正確な問題点が、マネジメントサイドに共有されないと、適切な改善が行われないので、結局目的は達成できません。整備したルールが、担当者に正確に伝わらず、ルール通りに実施することが困難な場合もここに該当します。(組織の規模が大きくなると、口頭だけでは正確に伝える事が不可能になるので、規程や基準の文書化が必要になります。)
⑤ モニタリング
実態は日々変化します。実態に適合する適切なルールを、適時に整備運用する必要があります。 要は一度決めたからではなく、実態に合わせて見直しを行う必要があります。見直しをする為に、定期的に実態とルールが乖離していないか確認する必要があります。ルールの運用で言えば、正しく運用がされているか、確認されないと、みなさんさぼりますよね?
以上から、定期的なモニタリング(確認)作業が、内部統制上、必要となります。
※注意事項として以下があります。
・構成要素は各々が独立していません。相互補完的です。例えば、モニタリングした結果は伝達され、再びルールの整備運用状況の見直しに入ります。
・実態は必ず、日々変化します。完全に同じ実態が続く事は絶対にありません。変化が小さいか大きいかの違いです。変化が大きい場合に、その変化にあった対応をとる必要があります。いったんルールを決めたからと言って、それを絶対に変えないという話ではなく、実態に合わせて、内部統制を更新し続ける必要があります。
あとがき
会社における管理活動は、内部統制の考え方で、問題点の把握と対応が可能です。(ルール自体が実態に照らして適切か、ルールは従業員に正確に伝わっているのか、ルールの運用は適切か、ルールの整備運用状況に関してチェックを行って実態把握をしているのか、整備運用状況の問題点はマネジメントに正確に伝わっているのか、管理職の意識・発信は問題ないのかetc)
管理活動の中で、色々と問題点や改善点が出てくると思います。整理する際には、内部統制の構成要素にあてはめてみてください。やみくもに考えるよりは、的確な対応が可能になります。
※コラム記載の内容は、あくまで一般的な例の記載、個人的見解になります。
会社の実態により、異なる場合があります。
以上