防衛特別法人税(創設予定)の税効果会計の取り扱いについて

会計・経理 税制
公開日:2025.3.14
更新日:2025.3.14
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「令和7年度税制改正の大綱」が2024年12月27日に閣議決定され、防衛特別法人税(仮称)の創設が掲げられています。防衛特別法人税に係る規定を含む「所得税法等の一部を改正する法律」の法案が、2025年2月4日に国会に提出され、国会で審議中です。

ASBJ(企業会計基準委員会)は、主として2025年3月31日に決算日を迎える企業の防衛特別法人税に関する税効果会計の取扱いについて、補足文書を2025年2月20日に公表しました。

今回はその解説を行いたいと思います。

※当補足資料は企業会計基準等を追加又は変更するものではなく、企業会計基準等の適用にあたって参考となる文書になります。

【1】今回の解説対象

「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」

【2】具体的内容

(1)公表の経緯

  1. 法人税額から500万円を控除した額を課税標準とする税率4%の新たな付加税(防衛特別法人税)が創設される。2026年4月1日以後に開始する事業年度から課される予定。
  2. 税効果会計の適用については、改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、改正税法の影響を反映する必要があると考えられる為、2025年3月31日に終了する事業年度の決算に備え、税効果会計の適用における防衛特別法人税の取扱いを整理することが必要になります。

(2)具体的な内容

  1. 改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、同日に決算日を迎える企業にあっては、税効果会計の適用における2026年4月1日以後に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に際して、防衛特別法人税の影響を反映する必要があります。
  2. 防衛特別法人税については、税効果適用指針に掲げる税金には明示されていないものの、法人税に対する付加税として課されるものであるため、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等に該当すると考えられます。
  3. 従って、改正税法が成立した場合には、法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)と同様に取り扱い、次の算式により法定実効税率を算定することが税効果適用指針の趣旨に適うこととなると考えられます。

法定実効税率

(注)防衛特別法人税の課税標準の計算において、法人税額から基礎控除額として500万円を控除することが予定されていますが、上述の算式においては考慮していません。

(補足:注記への影響)

2025年3月31日に決算日を迎える企業の注記への影響(追加分)は以下になります。

①改正税法が2025年3月31日までに成立した場合

  • 税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額

※税率の変更における繰延税金資産及び繰延税金負債の修正額は、期末における一時差異等の残高に、改正後の税率と、改正前の税率の差を乗じて算出します。

②改正税法が2025年4月1日以後に成立した場合

  • 決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及びその影響

本コラムの内容については、今後の国会における法案審議の過程等において、修正・削除・追加等が行われる可能性があることにご留意ください。

以上

<参考>
「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」

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