法人税、住民税及び事業税に関する会計処理及び開示に関して

会計・経理 税制
公開日:2024.9.18
更新日:2024.9.18
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今回は法人税、住民税及び事業税に関する会計処理及び開示の基礎的な部分に関して、解説したいと思います。
あまり知られていませんが、会計基準が存在し、更正等の場合における会計処理及び開示についても規定されています。参考にして頂ければと思います。

(1)更正等の会計処理

  1. 過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により追加で徴収される可能性が高く、当該追徴税額を合理的に見積ることができる場合
    • 誤謬に該当するときを除き、原則として、当該追徴税額を損益に計上
    • 更正等による追徴に伴う延滞税、加算税、延滞金及び加算金については、当該追徴税額に含めて処理する
  2. 過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により還付されることが確実に見込まれ、当該還付税額を合理的に見積ることができる場合
    • 誤謬に該当するときを除き、当該還付税額を損益に計上
  3. 過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等について、更正等により追徴税額を納付したが、当該追徴の内容を不服として法的手段を取る場合であり、還付されることが確実に見込まれ、当該還付税額を合理的に見積ることができる場合
    • 誤謬に該当するときを除き、当該還付税額を損益に計上
条件1、2を共に満たす場合、更正等による追徴税額もしくは還付税額を損益に計上します
ケース 条件1 条件2
更正等により追加で徴収される場合 追加で徴収される可能性が高い 追徴税額が合理的に見積可能
更正等により還付される場合 還付されることが確実に見込まれる 還付税額が合理的に見積可能
更正等により追徴税額を納付したが、当該追徴の内容を不服として法的手段を取る場合 還付されることが確実に見込まれる 還付税額が合理的に見積可能

(2)開示

  1. 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等

    ①損益計算書項目

    • 法人税、住民税及び事業税(所得割)

      税引前当期純利益(又は損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示

    • 事業税(付加価値割及び資本割)

      原則として、販売費及び一般管理費として表示

      ※合理的な配分方法に基づき、その一部を売上原価として表示することが可能

    ②貸借対照表項目

    • 法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額

      流動負債の区分に「未払法人税等」などその内容を示す科目をもって表示

    • 法人税、住民税及び事業税等の税額が、中間申告により納付された税額を下回る場合等により還付されるとき、当該還付税額のうち受領されていない税額

      流動資産の区分に「未収還付法人税等」などその内容を示す科目をもって表示

  2. 更正等による追徴及び還付
  3. ①損益計算書項目

    • 法人税、住民税及び事業税(所得割)の更正等による追徴税額及び還付税額

      法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を表示した科目の次に、その内容を示す科目をもって表示

      ※金額の重要性が乏しい場合、法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示することが可能

    • 事業税(付加価値割及び資本割)の更正等による追徴税額及び還付税額

      原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示

      ※合理的な配分方法に基づき、その一部を売上原価として表示することが可能

    ②貸借対照表項目

    • 法人税、住民税及び事業税等の更正等による追徴税額のうち、納付されていない税額

      当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額に含めて表示

    • 法人税、住民税及び事業税等の更正等による還付税額のうち、受領されていない税額

      当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等の還付税額のうち受領されていない税額に含めて表示

※当基準における用語の定義

「更正」とは、法人税、住民税及び事業税等について、提出した納税申告書に記載された課税標準又は税額の計算が法令に従っていなかった場合や、その他当該課税標準又は税額が税務署長又は地方公共団体の長の調査したところと異なる場合に、その調査により、当該納税申告書に係る課税標準又は税額を変更することをいいます。
「修正申告」とは、法人税、住民税及び事業税等について、提出した納税申告書に納付すべきものとして記載した税額に不足額がある場合や、提出した納税申告書に記載した純損失の金額が過大であった場合に、当該納税申告書に記載された課税標準又は税額を修正する納税申告書を税務署長又は地方公共団体の長に提出することにより、提出した納税申告書に係る課税標準又は税額を変更することをいいます。
なお、更正及び修正申告を「更正等」として、当基準上は取り扱っています。

以上

<参考>

法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(企業会計基準第27号)

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