定額減税留意事項②(年調減税事務)

会計・経理 税制
公開日:2024.8.20
更新日:2024.8.20
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今回も前回に引き続き、定額減税に関して解説します。
今回は、②年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を行う事務(年調減税事務)に関して解説します。
なお、年末調整の際のより詳しい事務等の内容に関しては、令和6年9月頃から国税庁HP「年末調整がよくわかるページ」に掲載される予定です。

(1)給与の支払者の事務のあらまし

給与支払者は以下の二つの事務を行う事になります。

  1. 令和6年6月1日以後に支払う給与等に対する源泉徴収税額から、その時点の定額減税額を控除する事務(月次減税事務)
  2. 年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を行う事務(年調減税事務)

(2)年調年税額の控除

年末調整における年調減税額の控除は、住宅借入⾦等特別控除後の所得税額(年調所得税額)から、その住宅借入⾦等特別控除後の所得税額を限度に⾏います。具体的には以下の図を参照下さい。

(3)主な留意事項(年調減税事務)

  1. 基準日在職者から、「源泉徴収に係る申告書」の提出を受けた場合の取扱

    ①同一生計配偶者につき「源泉徴収に係る申告書」に記載して提出を受けた場合

    同一生計配偶者について記載した「源泉徴収に係る申告書」の提出を受けた場合には、年末調整の際に、配偶者控除等申告書(又は年末調整に係る申告書)の提出を受ける必要があります。
    また、同一生計配偶者について、源泉控除対象配偶者として記載した扶養控除等申告書の提出を受けた場合も、年末調整の際に、配偶者控除等申告書(又は年末調整に係る申告書)の提出を受ける必要があります。

    ※令和6年中の所得金額の見積額が 1,000万円超の給与所得者の同一生計配偶者について、年調減税額の計算に含める場合には、「年末調整に係る申告書」を年末調整時までに提出する必要があります。

    ②扶養親族につき「源泉徴収に係る申告書」に記載して提出を受けた場合

    扶養親族(16歳未満の扶養親族を含む)について記載した「源泉徴収に係る申告書」の提出を受けた場合には、年末調整の際に、扶養親族について記載した扶養控除等申告書又は「年末調整に係る申告書」の提出を受ける必要があります。
    なお、扶養控除等申告書(住民税に関する事項を含む)に記載した扶養親族(16歳未満の扶養親族を含む)については、年末調整の際に新たに申告書を提出する必要はありません。

  2. 源泉徴収票の記載方法

    ①源泉徴収票への記載方法

    「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄に、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時 所得税減税控除済額×××円」、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額を「控除外額×××円」(控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」)と記載します。
    また、合計所得金額が 1,000万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配偶者」)分を年調減税額の計算に含めた場合には、上記に加え「非控除対象配偶者減税有」と記載します。

    記載例A:年末調整を行った一般的な場合
    源泉徴収時所得税減税控除済額×××円、控除外額×××円

    記載例B:非控除対象配偶者分の定額減税の適用を受けた場合
    源泉徴収時所得税減税控除済額×××円、控除外額×××円
    非控除対象配偶者減税有

    ②年末調整をしなかった人の源泉徴収票への記載方法

    令和6年分の給与の収入金額が2,000万円を超えるなどの理由により年末調整の対象とならなかった給与所得者については、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなる為、その人に係る「給与所得の源泉徴収票」 の作成に当たり、「(摘要)」欄には、定額減税額等を記載する必要はありません。
    なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載します。

    ③所得制限を超える人の源泉徴収票の記載方法

    年末調整の対象となる給与所得者については、源泉徴収票への定額減税額等の記載が必要です。なお、給与以外の収入があり令和6年分の合計所得金額が 1,805万円を超える人は、定額減税の対象とはならないため、「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額0円」と記載します。

  3. その他

    ①所得制限を超える人に対する年調減税

    給与所得者のうち、合計所得金額が1,805万円を超える人については、年調減税の適用を受けることができません。
    そのため、給与所得者が年末調整時に提出した基礎控除申告書に記載された令和6年分の合計所得金額の見積額を確認し、年調減税の適用を受ける給与所得者か否かを判定し、合計所得金額が 1,805万円を超える人の年末調整においては、年調所得税額から年調減税額を控除せずに年調年税額の計算を行います。なお給与収入が2,000万円を超える人については、年末調整の対象となりませんので、確定申告で精算を行います。

    (注)主たる給与の支払者からの給与収入は2,000万円を超えないが、その他の所得があるために合計所得金額が1,805万円を超える人が、年末調整で年調所得税額から年調減税額を控除しないで計算を行う人になります。

    例:給与収入が1,900万円(給与所得1,705万円)で、不動産所得が200万円

    ②令和7年以降に支給される給与等に係る定額減税

    年末調整の結果、給与所得者の年調所得税額から控除しきれなかった年調減税額については、源泉徴収票(給与支払報告書)に年調減税額の控除外額として記載し、令和7年1月以降に支給される給与等に係る源泉徴収税額からは控除しません。

以上

<参考>

定額減税 特設サイト|国税庁

給与等の源泉事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた
令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係【令和6年5月改訂版】)

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