インボイス制度の解説⑥

会計・経理 税制
公開日:2023.1.18
更新日:2023.1.18
  • Xでシェア
  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク

今回は令和4年12月23日に閣議決定された「令和5年度 税制改正の大綱」における、インボイス制度の新たな税制上の措置に関して抜粋して御説明します。
消費税の複数税率制度の下において適正な課税を確保する観点から、令和5年10月に施行される消費税の適格請求書保存方式(インボイス制度)への円滑な制度移行のために、新たな税制上の措置を講ずるとされています。

主に以下の4点の措置(案)が講じられます。

  1. 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(案)
  2. 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(案)
  3. 少額な返還インボイスの交付義務免除(案)
  4. 登録制度の見直しと手続の柔軟化(案)

①小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(案)

対象期間等

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間

対象者

インボイス発行事業者の登録をしなければ、課税事業者にならなかった者が対象

措置内容

納税額を売上税額の2割に軽減

適用にあたっての手続等

  • 事前の届出は不要。確定申告書にその旨を付記
  • 2年間の継続適用の縛りなし

②一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(案)

対象期間等

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入

対象者

基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者

措置内容

当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める

※一回の取引の課税仕入れに係る税込みの金額が1万円未満かどうかで判定を行い、課税仕入れに係る一商品ごとの税込み金額等によるものではない

※課税仕入れに係る支払対価とは、税込価額

③少額な返還インボイスの交付義務免除(案)

対象期間等

適用期限なし

対象者

全ての事業者が対象

措置内容

売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除する

この措置により、売手負担の振込手数料に係る事務負担が解消されます。

④登録制度の見直しと手続の柔軟化(案)

措置内容1

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を申請する場合において、課税期間の初日から登録を受ける場合、当該課税期間の初日から起算して15日前の日まで登録申請書を提出しなければならないこととする(現行は1月前の日)

措置内容2

令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する「困難な事情」については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする

※現行は、令和5年10月1日に登録を受けようとする事業者は、原則として令和5年3月31日までに申請しなければなりません。ただし令和5年4月以降であっても、申請書に「3月末までの申請が困難な事情」を記載する事で、令和5年10月1日に登録したものとみなす措置が設けられています

今回の解説はあくまで令和5年度の税制改正大綱に関するものです。今後政府から提出される法案の内容や国会における審議状況等も御確認して頂ければと思います。

様々な特集や解説が行われていますが、国税庁の「インボイス制度特設サイト」が公式であり、お勧めとなります。是非ご確認ください。

特集 インボイス制度 (nta.go.jp)

※コラム記載の内容は、あくまで個人的見解になります。

以上

インボイス制度 解説資料

インボイス制度対応の準備を進めるうえで知っておきたい、基本と実務を解説いたします。

資料をダウンロード

関連記事

インボイス制度対応の準備を進めるうえで知っておきたい基本と実務 課税事業者向けのポイント重点解説 資料を無料ダウンロード
クラウドERP「GRANDIT miraimil」について知りたい方は まずはお気軽にご相談ください