インボイス制度の解説②
前回は簡単に「インボイス制度」の全体像につき、解説しました。
今回は少し掘り下げて、具体的に解説したいと思います。主に前回のポイントの①②について、解説したいと思います。
参考 <前回コラムより抜粋>
- 「税務署長に申請して登録を受けた」→今回はここを掘り下げます。
- 「課税事業者である」→今回はここを掘り下げます。
- 「インボイス発行事業者が交付するインボイス」
- 「保存が消費税の仕入税額控除の要件」
インボイス発行事業者になる(登録をうける)には、以下の留意事項があります。
- 適格請求書発行事業者の登録申請手続が必要です。
- 登録は、課税事業者が受けることができます。登録を受けなければ適格請求書を交付できません。登録を受けるかどうかは、事業者の任意です。
- 税務署による審査を経て、登録された場合は、登録番号などの通知及び公表が行われます。(※1)
→通知される登録番号の構成は次のとおりです。
法人番号を有する課税事業者はT+法人番号
上記以外の課税事業者(個人事業者等)は、T+13桁の数字→e-taxで登録申請し、登録通知について、電子データでの通知(電子通知)を希望した場合は、電子データで登録通知が送信されます。その他の場合は、税務署から登録通知書が郵送されます。(※2)
→公表事項は、国税庁適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。(※3)(※4)
- 登録スケジュールは以下になります。
→登録申請手続は令和3年10月1日より開始しています。
→令和5年10月1日より適格請求書等保存方式が開始されます。
→令和5年10月1日より登録を受けるためには、原則として、令和5年3月31日までに登録申請手続を行う必要があります。
免税事業者が適格事業者発行事業者の登録申請手続を行う際には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は必要ありません。
免税事業者が登録の必要性を見極めながら、柔軟なタイミングで適格請求書発行事業者となれるようにする為、令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間においては、「課税事業者選択届出書」を提出することなく、登録申請手続を行う事により、適格請求書発行事業者となる事が認められました。(令和4年度税制改正)
特に免税事業者が気を付けるポイントは以下になります。
- 適格請求書発行事業者になると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となっても、消費税の申告が必要です。
※1:取消事由に該当する場合は、適格請求書発行事業者の登録が取り消される事があります。例えば以下の事由が挙げられます。
- 1年以上所在不明である場合
- 事業を廃止したと認められる場合
- 登録申請手続において虚偽の内容を記載し、登録を受けた場合
※2:国税庁 適格請求書発行事業者 登録申請手続
このサイトでは登録申請手続(税理士の代理送信含む)が確認できます。
※3:国税庁適格請求書発行事業者公表サイト
国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト (nta.go.jp)
このサイトでは、「登録番号」を入力し、その登録番号に係る適格請求書発行事業者に関する公表事項を確認できます。主に以下の事項が確認できます。
- 氏名又は名称
- 法人の場合、本店又は主たる事務所の所在地
- 登録番号
- 登録年月日
- 登録取消年月日、登録失効年月日
※4:公表事項に変更が生じた場合や、登録を失効させる場合には、一定の手続きが必要です。例えば、以下の場合が挙げられます。
- 氏名又は名称、本店又は主たる事務所の所在地の変更があった場合
- 登録の取り消しを求める場合
様々な特集や解説が行われていますが、国税庁の「インボイス制度特設サイト」が公式であり、お勧めとなります。是非ご確認ください。
※コラム記載の内容は、あくまで個人的見解になります。
以上
- 第1回:なぜ消費税は理解しづらいのか。法人税と消費税の計算方法の違い
- 第2回:なぜ利益が出ているのに、お金がないのか
- 第3回:令和4年1月1日施行、短期退職手当等について
- 第4回:「収益認識に関する会計基準」のポイント・対応状況について
- 第5回:中小企業向けの令和4年度税制改正のポイント
- 第6回:不正会計は他人事ではない
- 第7回:会計監査人(監査法人)が実施する棚卸立会に関して
- 第8回:会計監査人(監査法人)が実施する確認状関連の作業に関して
- 第9回:期末監査における会計監査スケジュール及び会計監査の実施内容に関して
- 第10回:決算日後に発生した「後発事象」。その種類と対応方法。
- 第11回:中小企業でも必要!会社の大小問わず必要な内部統制の解説
- 第12回:インボイス制度とは?税理士が解説する基礎知識