【導入事例】宮城ヤンマー株式会社

総合技術商社

宮城ヤンマー株式会社 様

宮城ヤンマーが掴んだ業務改革のカギ

~30年以上使用した基幹システムをクラウドERPに~

中堅中小規模の企業や地方企業にとって、基幹システム刷新のハードルは低くない。従来システムとの連携やコストへの懸念はもちろん、長年使い慣れたシステムからの変更の場合、データの移行や運用面での不安もあるだろう。

宮城県石巻市に本社を置く宮城ヤンマー株式会社もそうした課題を抱えていた地方企業の一つだ。ヤンマーグループの地域特約店である同社は、30年以上にもわたってヤンマーが提供する基幹システムで事業を行ってきたが、以前からDX推進の必要性を感じていたという。

また機能面でも、販売や在庫管理が中心だった従来システムでは、原価管理のために導入している別システムとの連携ができないという課題があった。こうした課題を解決するため、2023年10月に同社が導入したのが、GRANDITが提供する国産のクラウド型統合基幹システム「GRANDIT miraimil」だ。

同社が「GRANDIT miraimil」を選んだ決め手や導入に至るまでの経緯、導入による効果などを、次ページよりひも解いていきたい。

人命に関わる事業だからアフターサービスにもこだわる

宮城ヤンマーは、ヤンマーグループの地域特約店として東北エリアを中心に事業展開している。組織構成は、経理や総務も含めた管理本部、主に船舶のディーゼル動力を扱うマリン事業本部、非常用発電システムを扱うプラント事業本部だ。

宮城ヤンマー本社内の工場

同社は、強みとして「お客様のニーズに沿った提案」「販売からアフターまで提供」「365日24時間体制でのサポート」を掲げる。アフターサ-ビスやサポートにこだわる意義について、同社取締役で管理本部本部長を務める渡辺憲郎氏はこう説明する。

「当社のビジネスは人命に関わるものです。船舶の場合は海上でエンジンが止まれば遭難の危険性がありますし、病院で停電になったときに非常用電源が動かなければ手術が続けられません。そのため、販売だけでなく、どんなときでも安心してお使いいただけるサポートをすることが使命だと考えています」(渡辺氏)

渡辺 憲郎氏
宮城ヤンマー株式会社 取締役 管理本部 本部長

こうした事業を支える上で、同社が必要性を感じていたのがDXの推進だ。管理本部で総務部部長を務める菅原貢氏は、DX推進を巡る経緯をこう振り返る。

「他社同様、当社も人手不足には悩んでおり、業務を効率化するためのDXは必要だと考えてきました。ただ、石巻は2011年の東日本大震災で大きな被害を受け、震災後しばらくは余裕がなく、2019年に新社屋が完成した頃からようやく機運が高まり、一気にDXが進んでいきました」(菅原氏)

地元のITベンダーや金融機関からも先進的だと評価される宮城ヤンマーだが、「GRANDIT miraimil」導入に至るまでにどのような課題や経緯があったのだろうか。

震災を機に従来の課題を解決する新システムへの移行を検討

「GRANDIT miraimil」の導入前、宮城ヤンマーが使用していたのは、ヤンマーが特約店も含めた全社をつないだ独自基幹システムだ。このシステムは、専用端末とオンラインの専用線を使って大阪とつなぐ方式。導入したのは30年以上も前で、販売面での機能は十分だった一方、他システムとの連携ができないというウィークポイントがあったという。当時の事情を菅原氏はこう説明する。

「特約店はヤンマー製品の販売がメインなので、販売や在庫管理といった機能はそろっているのですが、当社は修理やメンテナンスなど技術面にも力を入れているため、どうしても原価管理できるシステムが別途に必要でした」(菅原氏)

菅原 貢氏
宮城ヤンマー株式会社 管理本部 総務部 部長

宮城ヤンマーでは、地元ベンダーの協力の下、原価管理を行うシステムを自社開発し、社内のLAN環境も整えた。しかし、ヤンマーの共通基幹システムは専用線で接続するため、システム間の連携が実現しないままの運用になっていたという。

「もう1点、改善したかったのが、データの重複入力です。専用線の端末は本社にしか設置されておらず、当社の各拠点は接続ができない状態だったため、基本的に事務処理は一括して本社で処理をしていました。締め処理についても例外ではなく、専用線を通じて本社端末で行うのですが、30年以上前のシステムなので、締め処理後の帳票はデジタル化されておらず紙のまま出てくる形だったのです。そのため、紙の帳票を見ながら、再度データを入力する手間があり、作業効率や入力ミスの観点からも、統合的な基幹システムへの移行の必要性を感じていました」(菅原氏)

そんなときに発生したのが東日本大震災だった。ヤンマーの特約店は、ヤンマーグループのITコンサルティングを行うヤンマー情報システムサービス(以下、YISS)のサポートを受けている。宮城ヤンマーも従来からYISSとの付き合いがあり、震災からの復旧を全面的に支援したのもYISSだったという。

「震災後、しばらくはDXに注力する余裕はありませんでしたが、当社が震災から立ち上がり将来にわたって発展するために、原価管理できるシステムの統合やデータのデジタル管理といった課題を解決しようという声が社内から上がりました」(菅原氏)

この悩みに応えたのもYISSだ。基幹システムの選定についてコンサルティングを受ける中で候補として浮かび上がったのが、GRANDITの「GRANDIT miraimil」だった。当時のことを菅原氏はこう振り返る。

「地域の中堅中小企業の場合、ITやDXの専任担当者がいるわけではないので、情報システムについての的確な判断が難しいという事情があります。そこで、YISSにもプロジェクトに入っていただいて、プロの目線からシステム選定や導入後のデータ移行などのご協力をいただきました」(菅原氏)

選定にあたっては、YISSがリストアップした20社ほどの中から、原価管理機能を持ったシステム8つを選び、さらに東北エリアでのサポートや納期を検討して3つに絞ったという。

最終的には導入プロジェクトのメンバー全員の投票で「GRANDIT miraimil」の導入が決まり、約半年にわたるトライアルがスタートした。

調達部門トップが現場との橋渡し役として実際の運用をけん引

「GRANDIT miraimil」は、国内の導入実績1400社以上を誇る国産ERP「GRANDIT」をベースにしたクラウド型統合基幹システムだ。販売や調達はもちろん、原価管理や経理など、11種類の主要基幹業務機能を搭載しているのが特徴となっている。データを一元管理することで二重入力や手戻りを防止できる点、クラウドでコストが安く済む点も宮城ヤンマーのニーズに合致した。

菅原氏によると、導入を検討する際に重視したのは、社員が対応できるかどうかだったという。

「今まで当社で使用していた基幹システムは30年以上も使ってきたものです。本来なら何度か刷新していてもおかしくない年数なのですが、震災の影響で遅れたこともあり、結果的には一気に大きな変化に臨むこととなりました」(菅原氏)

スムーズな移行を実現する上で大きな役割を果たしたのが、同社管理本部で調達部部長を務める今野英訓氏だ。今野氏は「GRANDIT miraimil」導入のプロジェクトリーダーを務めた菅原氏と共に、トライアル時も導入後の運用時も社内のけん引役となっている。渡辺氏によると、今野氏は調達部門のトップなので、仕入れや技術、営業との接点が強く、管理本部と現場との橋渡し役として最適任だったという。

「当社が取り扱うアイテム数は数万という単位です。在庫をはじめとする膨大な数字が正しく移行できるかが不安でしたが、その心配は杞憂に終わりました。

また、トライアル時にはとにかくデータ作成に注力しましたが、仕入れや入金、支払いといったデータがしっかり連携し、各フェーズが一気通貫につながることが確認でき、これなら問題ないという確信を得ました」(今野氏)

今野 英訓氏
宮城ヤンマー株式会社 管理本部 調達部 部長

地方の中堅中小企業では、情報システムの専任担当者が不在のケースも多いが、現場との接点が多い調達責任者が運用を担当した宮城ヤンマーの事例は、大きなヒントになるのではないだろうか。

スピードアップのほか、働き方改革やBCPの観点でも有効

トライアルのスタートから導入までの半年ほどの期間に、本番運用に向けた準備も着々と進んだ。

「定期的に開いていた導入プロジェクトの会議で、GRANDITさんから説明や提案を受けていましたし、実際に『GRANDIT miraimil』を触って深まった理解を共有するため独自のマニュアル作成も進めました」(菅原氏)

こうした準備を経て、宮城ヤンマーが「GRANDIT miraimil」の本番運用をスタートしたのは2023年10月。効果として大きかったのは、やはり工数が減ったことだと今野氏は言う。

「手書きの伝票を処理する工数が減ったのはもちろん、全業務データが一元管理できるので、作業の進捗も一目で分かるようになり、大幅にスピードアップしました。また、締めの入力、重複、書類保管作業がなくなったことで残業も減りましたし、近年はフレキシブルな働き方が推進され、今後在宅勤務をする社員も予測されるため、働き方改革の観点でもクラウドの利便性を感じています」(今野氏)

震災被害を経験した宮城ヤンマーにとって、BCP(事業継続計画)という点でもクラウドのメリットは大きいはずだ。

最後に、今後の展望について聞くと、菅原氏は「社内で連携が完了していないシステムもあるので、まだまだこれからです」としながらも、「来期以降の中期経営計画にITやDX、さらにはAIのような最新テクノロジーをどう盛り込むかを検討しています」と前を向く。

実際に運用に当たっている今野氏も「日々『GRANDIT miraimil』に触れることで、社内のITリテラシーや新しい働き方への理解が進んでいると感じます」と語る。

地方企業や中堅中小企業にとって、「GRANDIT miraimil」のような先進的な基幹システムを導入することは、業務だけでなく意識をアップデートするという点でも大きな意義があると言えそうだ。

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※本記載の情報は取材時(2024年8月現在)のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
※日経BPの許可により「日経クロステックActive」2024年8月20日掲載の記事体広告から抜粋したものです。禁無断転載 ©日経BP

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