【導入事例】木原興業株式会社

専門商社

木原興業株式会社 様

クラウドERP導入による基幹システム刷新が地方専門商社のデジタル変革を加速

20年前の基幹システムを使い続けていた木原興業の挑戦

現在老朽化した基幹システムの刷新を喫緊の課題として抱えている中小企業は多いのではないだろうか。しかし人材不足やコストの問題などその実現を阻むハードルは高い。

岡山県に本社を置き、地域に根差した産業用電気機器の専門商社である木原興業も同様の課題を抱えていた。20年も前に作られた販売管理システムを使い続け、サーバーのOSの保守期限は過ぎ、壊れたら業務ができなくなるという危機的状況だった。また、価格、在庫、納期などを紙で管理するなど、時代のニーズに即さない仕組みのまま運用を続けていたという。

こうした長年の課題を解決するべく導入したのが、GRANDITが提供する国産のクラウド型統合基幹システム「GRANDIT miraimil」だ。富士電機グループ特約店でもある同社は、富士電機のデータシステムと連携しなければならないという難しさもあったが、こうした周辺システムとの連携部分をなんと自社で開発。この基幹システム刷新により、今まで見えなかったデータの見える化に成功し、さらには、伝票などのペーパーレス化も実現するなど、劇的な業務の効率化を果たした。

同社はなぜ「GRANDIT miraimil」を選択し、基幹システムの刷新を成功に導くことができたのだろうか。そこには、同社の卓越した先見性と、若手社員を信じて仕事を任せる気概があった。

紙での運用をベースとした20年前の販売管理システムが老朽化

岡山に創業して120年という長い歴史のある木原興業。綿織物の製造・販売からスタートし、次に石炭や電材の卸売を開始。その後、富士電機製造の創立を機に特約店として、電気機器の取り扱いを開始したのが1923年のこと。今では、その提案力やサポート力の高さによって地元企業からの厚い信頼を得て、富士電機グループの代理店として岡山県近隣でトップクラスの売り上げ成績を収めている。

しかし木原興業は、20年前に作られた販売管理システムの老朽化という課題に悩まされていた。WindowsサーバーのOSは既に保守期間が切れており、社内にあるサーバーが壊れたら終わりという危機的な状況だった。また、価格、在庫、納期などは主に紙で管理しており、総務部では5枚つづりの仕訳伝票を手書きし、それを基にデータの打ち込みを行っていた。こうした非効率さは、木原興業に限らず多くの中小企業が抱えている問題だろう。

「人材やコストの課題はありつつも、何から始めたらいいのか分からないという企業は多いのではないでしょうか」と同社 情報システム室 副室長 木原康之氏は語る。

木原 康之氏
木原興業株式会社 情報システム室 副室長

そこで木原氏は、RFP(提案依頼書)を作成し5社ほどに送った。そのうちの1社がGRANDITだった。戻ってきた提案を検討した結果、「GRANDIT miraimil」の導入を決断。その理由を木原氏は次のように語る。

「商社の商習慣に理解があった点が非常に良かったです。他のサービスは、相対取引や値引きなどに対応できるのか不明瞭なままでした。また我々は地方企業ということもあり、サポートなども考慮すると、オンプレミスではなくクラウドを前提とすべきだと考えていました。これらを踏まえ、選定プロセスでは社内でかなり議論しました」(木原氏)

業務の洗い出しをして仕事の流れを整理、ペーパーレス化を目指す

ERP刷新プロジェクトを推進する上で、木原氏がまずやったことは「業務の洗い出し」だ。自社のビジネスを理解することに1、2年もの時間をかけたという。

「長い歴史の中で、その作業がなぜ必要なのか誰も説明できないような仕事もありました。そうしたものを整理するのに一番苦労しました」(木原氏)

また現社長の木原裕之氏が、副社長時代からこだわっていたのが、業務におけるペーパーレス化だ。注文データは旧システムでも連携していたものの、わざわざ注文書を印刷し、そのすべてに判子を押して段ボールに保管していた。

今回の基幹システム刷新で一番大きな影響を受けたのは総務部だ。これまで紙で管理してきたものが、すべてシステム化され、仕事のやり方が大きく変わる。これらのデータ整備を任されたのが、入社3年目の若手である総務部の山根直都氏だ。

「最初は『GRANDIT miraimil』から正しいデータが上がっているのかどうかを見極めるのに苦労しました。営業から教えてもらった実際の数字と照らし合わせるなどして、やっていくうちに段々と分かるようになっていきました」(山根氏)

山根 直都氏
木原興業株式会社 総務部

「GRANDIT miraimil」の導入後、総務部では、紙の伝票でやっていた作業が画面上で完結できるようになり、業務効率が劇的に向上。営業部では、商品コードを打つだけで卸値などが出てくるなど、利便性も劇的に上がった。しかし2023年11月の導入当初は、あまりの変化の大きさに混乱もあったという。

「慣れてくるうちにその便利さを感じられるようになったのではないかと思います。今では『もっとこういうことはできないか』というような前向きな声も出るようになりました」(木原氏)

木原氏が重要視したのが、この導入時の社員サポートだ。専用のスタッフを1人配置し、様々な質問に対応してもらうことにした。さらには、文書管理ツール上にマニュアルを作成し、社員から上がった質問への回答をFAQとしてすべてまとめていった。こうした細かなサポートが、社内への浸透を早めたのだろう。

外部システムとの連携を自社で開発、より詳細な営業データの可視化を実現

木原興業は富士電機グループ特約店であるため、富士電機のデータシステムと「GRANDIT miraimil」とを連携する必要があった。しかし同システムの機能だけでは、このデータ連携ができないことは分かっていた。そこで、別に連携用の「商品・価格・取引明細データベース」を立てることにしたのだが、驚くべきは、その連携システムを自社で開発したことだ。

「私は、木原興業入社前にシステムの仕事をしてきたので、その延長線上で実現できました。もちろん私1人ではなく、地元のシステム開発会社である両備システムズからもサポートをいただきました」(木原氏)

木原興業で取り扱っている商品は、20万〜40万点にも及び、それぞれに顧客ごとの卸価格が細かく設定されている。今でも、これらの膨大なデータを連携用データベースに登録しているところだという。「GRANDIT miraimil」にはAPIがあるので、連携させるために必要なデータを外に出す道筋があるのは、開発上の大きなメリットだったと木原氏は説明する。

そして、売上日報や予実管理などの営業データを見える化するために導入したのが「Power BI」だ。この開発を担当した山根氏は当時の様子を次のように語った。

「最初はまったく手に負えず、これまでの経営会議で使っていた資料に近いものを作ろうと何とか頑張っていた状態でした。ただ、慣れてくると少しずつ様々な機能が使えるようになり、以前よりも多くのデータを資料に入れ込むことができるようになりました」(山根氏)

この「Power BI」を導入した背景を木原氏は次のように説明する。

「『GRANDIT miraimil』に標準搭載しているデータ可視化機能に加えて、これからの競争力の源泉となる営業管理の強化に向けて追加でBIが必要だと考えていました。部署ごとの利益率など、これまで見えなかった部分が見えるようになり、今後の経営判断に生きてくるのではないかと期待しています」

山根氏は、「Power BI」導入後に一番大きく変わったのは資料作りの負荷だと語る。

「これまでは1日かけて多くの資料を作っていましたが、『Power BI』ではボタンを押すだけで完了してしまいます。この業務の負担はかなり軽減されました」

販売パートナーとして、システム事業を経営の新たな柱に

こうした成果を得たこともあり、木原興業は2024年8月に「GRANDIT miraimil」の販売パートナーとなった。繊維業から始まった同社は、これまでも様々な事業を展開してきた歴史がある。今回も、「GRANDIT miraimil」を軸としたシステム事業を、新たな収益の柱として育てていきたいという思いがある。

木原氏が「GRANDIT miraimil」の強みとして感じているのが、APIの機能を実装している点だ。今や1つのシステムだけで、すべての機能を賄うのは不可能な時代となっている。API機能があることで、どんな外部システムと連携させるかなど、アーキテクチャー設計の自由度が高まるのだ。

「『GRANDIT miraimil』は、他社と比較しても少し先を行くシステムだと感じています。生成AI機能の導入にもチャレンジするなど、今後もさらに良くなっていく可能性を感じさせてくれるサービスなのです」(木原氏)

さらに将来的には物流管理システムや営業支援システムにもつなげていきたい考えだ。

「データを活用して科学的に営業している企業は、利益を生み出す仕組みを持っているのだと思います。どのお客様が何を買ってくれたのかというデータを何十年と積み上げていけば、大きな財産となるに違いありません。我々は今、データを貯め始めたばかりで、その取り組みがようやく始まったところなのです」と木原氏は、未来への展望を語った。

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※本記載の情報は取材時(2024年9月現在)のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
※日経BPの許可により「日経クロステックActive」2024年9月30日掲載の記事体広告から抜粋したものです。禁無断転載 ©日経BP

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