AIとは、「Artificial Intelligence」の略で、「学習・推論・判断といった人間の知能のもつ機能を備えたコンピューターシステム」と紹介されていますが、実際には「AI」の定義は不明確で「AI」や「人工知能」という言葉はかなり広義に使われています。
例えば既に身の回りにある家電製品には「AI」、「AI搭載」と謳っている商品がありますが、数万円で販売されているロボット掃除機に人間の知能があったらそれこそ脅威ですね。
「AI」は過去2回ほどブームが到来しましたが、なかなか結果を出すことができず、今回が「第3次AIブーム」といわれています。
第1次ブームは、「推論」、「探索」などの技術が基盤でした。パズルや簡単なゲームなど、明確なルールが存在する問題に対して高い性能を発揮しましたが、様々な要因が絡み合っているような現実社会の課題を解くことはできませんでした。
第2次ブームは、「エキスパートシステム」です。人工知能に専門家のように「知識」をルールとして教え込み、問題解決させようとしましたが、専門家の知識を吸収する前に必要な一般常識レベルの学習を人が手動でコンピューターに教える必要がありました。また、例外や矛盾したルールに対応できなかったため、実際に活用可能にするには、その範囲を特定の領域に限定する必要がありました。
現在の第3次ブームは「ビッグデータ」と「機械学習」が基盤となっています。従来では記録や保管、解析が難しかった膨大なデータ群をコンピューターが学習し、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムやモデルを自動的に構築する技術です。
犬や猫の写真をひたすら学習させると、写真が犬か猫か判別できるようになったり、ゲームを学習させるとAIが操作法や勝ち方を学習したりできます。最近では最年少プロ棋士が練習でAI将棋と対戦していることも有名です。
このように現在のAIはアルゴリズムやモデルをコンピューター自身が構築しているので、実際にどのような方法で判別しているかが難しくなっており、本当に「学習・推論・判断といった人間の知能のもつ機能を備えたコンピューターシステム」になりえるのかは不明です。
一方で、人間が用いる自然言語を理解・処理する「自然言語処理」や、データを分析して知識を基に論理的に新たな結論を導く「推論」、画像や動画から特定のパターンを抽出して対象を識別する「画像認識」、経験や与えられた情報から役立ちそうな知識を見つけ出す「学習」など、応用範囲が広がっており、注目されている技術の一つとして期待されています。