DXコラム#06 DXのメカニズム

公開:2021.11.5
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前回のコラム「DXとデジタル化」で、「DX」とは、「変化に俊敏に対応できる企業に変わること」、すなわち、「アジャイル企業へ変革すること」であり、「デジタル化」はそのための手段であることを説明しました。

今回のコラムでは、DXが、アジャイル企業への変革を実現するメカニズムについて、解説します。

いまビジネスは、「社会環境が複雑性を増し将来の予測が困難な状況」に置かれています。この状況に対処するには、「変化を直ちに捉え、現時点での最適を選択し、改善を高速に回し続けること」が、唯一の方法です。そのためには、新規事業や業務の改善は、1回やれば終わりではなく、めまぐるしく変わるビジネス環境に変化に応じて、繰り返し、継続的にできなくてはなりません。また、場所や時間に拘束されず、人間しかできない知的作業に注力できるよう、リモートワークやペーパーレスを実現することで、ワークスタイルの多様化を実現することも必要です。

そのための手段として、「デジタル化」が大切な役割を果たすわけですが、そのひとつが、コラム#02で解説した「レイヤー構造化と抽象化」です。アナログな組織や人に張り付いた機能やスキルは、変化を求められても、容易に対処できません。そこで、ビジネス・プロセスをデジタル化することで、業務の機能や役割の要素分解を進め、組合せの変更や新たな要素の組み入れを、容易にできるようにし、変化への即応力を手に入れることができます。
また、事実はリアルタイムに「データ」として収集できます。これを使って迅速な対処や改善を行い、現場にフィードバックできれば、これから起こる変化を予測することや、これまで誰も気付くことのなかったコトを洞察し、変化を先取りした対応ができるようになります。
さらに、「自動化」を徹底して進め、機械にできるコトを増やせば、人間は肉体的あるいは知的力仕事から解放されます。そうなれば、人間は、人間にしかできないコトへ時間や意識をシフトし、新たな価値の創出に一層貢献できるようになります。

デジタル化によって、変化に俊敏に対応するための「圧倒的なビジネス・スピードを獲得する」と同時に、人間力を活性化し、「イノベーションにより、予測不可能な不連続な変化への対応」もできるようになるのです。

そんなデジタル化を支えるのがソフトウエアです。要素分解された業務の機能の組合せの変更や新たな要素の組み入れを柔軟迅速に行うとともに、データを迅速に解釈して最適解を見つけ出し、業務の自動化・自律化を実装するための土台です。もちろんスピードが求められますから、アジャイル開発・DevOps・クラウド、サーバーレス、コンテナなどの「作らない技術」が前提となります。

「作らない技術」とは、「ビジネス成果の達成を目的に、既存のITサービスを駆使し、できるだけ作らずに短期間でITサービスを実現する技術」です。ビジネスにとって、大切なことは、システムを作ることではありません。サービスとして、ITを使い、業務に役立てることです。だから、なるべくコードを書かずに目的を達成することができれば、それだけビジネスへの貢献は大きくなります。そのためには、既存のクラウド・サービスやOSSなどをできるだけ利用し、そこでは手に入らない「差別化するための独自性の高いプログラム」のみを自分たちで作り、出来合いのサービスと組み合わせて、必要とするサービスを実現するという考え方が必要になるのです。
また、人間は、人間にしかできないコト、すなわちイノベーション、クリエーション、ホスピタリティなど、人間力の一層の活用が求められます。

このように、デジタルと人間のそれぞれの得意分野を最大限に発揮することで、変化に俊敏に対応できるアジャイル企業へと変革することができるのです。

このような取り組みを進めるには、企業の文化や風土、そこで働く人たちの意識も変わらなくてはなりません。

DXに取り組む企業の中には、まずは「企業の文化や風土を変えよう」とか、「社員の意識を変えよう」と言う人たちもいますが、それはやめておいた方がいいでしょう。危機感を煽り、精神論を語り、叱咤激励して、変わるならばいいのですが、そんな話は聞いたことがありません。大切なのは、「カタチから入る」ことです。

現場は、手段としての新規事業や業務改善、リモートワークやペーパーレス化を実践することです。そして、それを継続し続けることです。体験し、感じ取り、気付くことです。

一方で、CDOやDX人材は、監督やプロデューサーとして、そのための機会を提供しつづけ、現場の取り組みを伴走することが、大切な役割となります。彼らは、ここで説明したDXのメカニズムを理解し、現場に正しい方向を示し、DXのあるべき姿、すなわち「アジャイル企業」に向かうように仕向けなくてはなりません。そんな積み上げが、結果として、企業の文化や風土を変革するのです。

ここに示したような本質的な変革を実現できなければ、いつまで経っても手段だけを追いかけ続けることになります。その結果、変化への対処療法を繰り返すだけで疲弊してしまうでしょう。

DXが「企業の文化や風土を変革すること」だと言われるのは、まさにこの点にあります。つまり、会社全体、すなわち経営者も管理者も現場も、変化を当たり前と捉え、自律的、自発的に、高速に変わり続けることができるようにしなければ、「変化が早く、予測困難」な時代に生き残ることはできません。
これが当たり前にできるのが「アジャイル企業」です。DXとは、そんな会社になることです。言葉を換えれば、「DXのメカニズム」を企業に埋め込むことが、DXの実践と言えるでしょう。

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